宇宙のゴミ

2006年2月22日
夜の空を一筋の光を追って眺めている。
「あかり」と命名されたものを探し当てるため想像をめぐらしている。今朝の午前6時28分、内之浦宇宙空間観測所からM5ロケット8号機を打ち上げた。赤外線天文衛星アストロFを搭載している。
宇宙航空研究開発機構は1月24日のH2Aの8号機、今月18日の9号機に続き、今日1か月間に3機のロケット打ち上げに成功した。 
暗い宇宙から発せられる赤外線にちなんで「あかり」。赤外線観測専用の衛星は日本で初めて。
ロケットは約9分後に衛星を分離、予定軌道へ投入、約1時間50分後に太陽電池パネルを展開した。
約2週間後に観測に適した高度750キロの極軌道に入る。2か月後から本格的な観測を行う。
 重さ952キロ・グラムのあかりは、口径約70センチの望遠鏡で全天を観測、宇宙空間を漂うちりに隠れた星などを1年以上かけ調べる。観測結果を基に作成される精密な宇宙地図が、銀河の進化や太陽系以外の惑星の存在といった宇宙の謎の解明に役立つと期待される。
もちろん極秘に進められているであろう軍事的利用の価値は計り知れない。
あかりは当初、2003年度に打ち上げる予定だったが、望遠鏡を支える部品に不具合が見つかったため延期していた。
8号機は東京工業大が開発した超小型衛星と、太陽光を帆に受け進む宇宙船を想定し宇宙機構が研究中の「ソーラーセイル」と呼ばれる実験装置も搭載。
超小型衛星は無事に分離した。
ソーラーセイルについては、直径約10メートルの帆の展開に成功したかどうか調べている。
ところが、同じ光でも、重さ百三十トンを超える、宇宙では過去最大の人工物体・ロシアの宇宙ステーション「ミール」が間もなく地表に落ちてくる。
22日前後というから、機を同じくする。
大部分は大気圏突入時の摩擦熱で燃え尽きるが、エンジンの耐熱部分など約二十トンが1500個程度の破片となり散乱する。
専門家は「制御が順調にいけば、日本に落ちることはまずない」と分析している。
 しかし、ミールは打ち上げから15年がたち老朽化が進んでいることから、万が一の事態も皆無とは言い切れない。
ロシア当局によると、南太平洋上に落下する予定のミールは、落下のための最終噴射後の段階で日本の上空は通過しないという。
 当初は日本上空を通過するとされていただけに、この予測通りなら破片落下の懸念は軽減された。だが首尾よく行くとは限らない。南太平洋上に安全に落ちるまで、まだまだ気が抜けない。 
 宇宙のゴミは今回落下するミールだけではない。
地球上空には、衛星やロケットの残がいの宇宙ゴミが大小合わせて8000個以上も漂っている。
 こうした宇宙ゴミは、スペースシャトルや衛星に衝突したり地上に落下するなど危険極まりない。破壊力もすさまじい。
 1978年1月、カナダ北西部に旧ソ連の原子炉衛星「コスモス954号」が落下、放射能汚染を引き起こし世界中を震撼させた。
翌79年7月には、米国の宇宙実験室「スカイラブ」がインド洋上に落下、破片の一部はオーストラリアにも落ちた。
 これを機に、原子炉や原子力電池など危険物を積載した人工衛星の打ち上げ規制や終末処理を求める声が強まったが、その後大きな進展もなく、その時の教訓はいまだ生かされていない。 
ただここんとこ続けさまの成功がどこにあるのか。
日本の新しい宇宙開発ビジョンが、ようやくまとまった。
 宇宙開発事業団と宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の統合後の組識と事業のあり方を検討していた文部科学省の三機関統合準備会議が、最終報告書をまとめた。
 報告書は、新機関を「宇宙開発や宇宙・航空科学研究を進める中核機関」と位置づけ、宇宙分野の研究開発や国際協力、人材養成などを担うとしている
 その上で、業務の柱として
(1)ロケットなどの整備・運用
(2)衛星利用の企画開発
(3)再使用型ロケットなど先端技術の開発
(4)宇宙科学研究と教育、の四つを打ち出した。
 新組織は、非公務員型の独立行政法人とし、効率的な技術開発を行うとともに産業界との連携や技術移転を進める。来年にも新しい組識に生まれ変わる。
 統合の利点を、これからの宇宙開発や関連産業の発展にどう結び付けるのか。真価が問われる。
 ロケットは、何十万点にも上る部品の集大成であり、打ち上げ時の高温・高出力により、わずかなミスが失敗に結びつく。
部材の材質や構造上の問題もあれば、組識間の連携不足といった問題もある。
 宇宙開発事業団が二月に打ち上げたH2Aロケットは、主エンジンは完璧な成功を収めたが、宇宙科学研究所が開発した便乗衛星の高速再突入実験機(DASH)がケーブルの誤配線という単純ミスで切り離しに失敗した。
予算規模も世帯も小さい研究所の「遠慮」が遠因になったとされる。
 今回、宇宙機関の組識の垣根が取り払われたことで、組織内の風通しがよくなり、命令・指揮系統が一元化される。
これこそが統合のメリットといえよう。
 わが国の宇宙開発の当面の目標は、本格ロケットであるH2Aの打ち上げ精度を高め、国際的な衛星市場に参入できる体制を早く確立することだ。
そのためには産業界との信頼関係の確立は重要だ。技術協力を得やすい環境を整えると同時に、出来上がった技術を早く移転し、産業のすそ野を広げる主導的な役割が求められよう。
 とはいえ、実用に偏重し、科学・教育が後回しになるようなことでも困る。準備会議の中で教育・研究を進める組識として非公務員型はふさわしいか、といった指摘もあった。十分、留意すべき問題だ。
 科学と実用のバランスのとれた宇宙開発ビジョンと、それにふさわしい組識の確立は新組織の両輪でなければならない。
 宇宙開発を真に国民のものとするためには、まだまだ詰めるべき課題は多い。
95年には米スペースシャトル「ディスカバリー」と「コロンビア」の操縦室の窓ガラスに宇宙ゴミの小片が衝突している
。宇宙空間を約十カ月飛行した日本の実験衛星を、九六年にスペースシャトルで回収、検査したところ、宇宙ゴミや微小ないん石が衝突した痕跡が337個も見つかった。
 宇宙開発事業団の調査によると今年一月末現在、地球を回る軌道上には衛星2867個のほか、宇宙ゴミが6104個もありやがて地表に落下する。
 寿命が尽きた衛星は、高度を上げるなどして地上への影響を少なくする措置が講じられる。
問題は衛星打ち上げなどに使われた上段ロケットの燃えがらなどの宇宙ゴミだ。安全な落下のための制御が不可能に近いからだ。
 宇宙人工物を安全に廃棄するための取り組みが急務だ。宇宙ゴミを減らすのに最も効果的なのは、何度でも衛星打ち上げに使える再使用型ロケットの開発である。
 米国やロシア、欧州、日本などで開発に取り組んでいるが、今後は国際協力で開発のピッチを上げてほしい。
 2006年春の完成を目指して建設中の国際宇宙ステーションも2020年すぎにはミールと同じ廃棄寿命を迎える。
 サッカー場ほどの大きさで重量は四百五十トンもある。
これを安全に廃棄するため、どのような方法が最善なのか世界の英知を結集して取り組んでもらいたい。
 人類にとって宇宙の平和利用は今後も積極的に推進しなければならない。だが、それ以上に大切なのは宇宙ゴミの安全な廃棄方法の確立である。ミールの落下を契機に、この課題解決に本腰を入れて取り組むよう求めたい。
本の宇宙開発どう進める
 中国は昨年10月、有人宇宙飛行船「神舟5号」を打ち上げ、旧ソ連、米国に次ぎアジアで初となる有人宇宙飛行を成し遂げた。
 中国人民解放軍が主導、「神舟」の名付け親は江沢民前国家主席で、国を挙げた国威発揚の意気込みを感じる。
 ところが、石原慎太郎東京都知事が、中国の成功に対して「中国人は無知だから喜んでいる」といった趣旨の発言をして物議をかもした。
 わがニッポンの宇宙開発レベルは、果たして中国を笑えるのか。
 ここ数年連続して起こったロケットや、人工衛星の打ち上げ失敗を忘れていやしないか。
 日本の宇宙開発はこれまで所管が異なる宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の三機関が縦割り的に行ってきた。
 とりわけ、衛星やロケットが大型化した一九九○年代半ばから故障や失敗が目立つ。
 98年2月、当時の宇宙開発事業団が打ち上げた国産「H2」ロケット5号機は第二段エンジンが燃焼停止し、通信放送技術衛星「かけはし」の静止軌道投入に失敗。
翌九九年十一月には「H2」8号機の第一段エンジンが燃焼停止し、運輸多目的衛星の打ち上げに失敗した
 縦割りの弊害をなくそうと、昨年10月、宇宙開発事業団など三機関が統合し、独立行政法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA、通称・宇宙機構)が発足した。
 日本の宇宙技術の底力を見せようと、宇宙機構が行ったのが昨年11月29日の国産主力ロケット「H2A」6号機の打ち上げだった。
 ところが、大型補助ロケットを切り離すことができないという基本的なミスが起き、地上から爆破指令で破壊した。
 この6号機には、北朝鮮のミサイル発射などを監視する情報収集衛星二基を搭載していたが空中に散った。
情報収集衛星は既に2基打ち上げられており、4基で運用して初めて特定の地点を24時間以内に撮影できる。
二基だけだと機能不全なのである。
 さらに、日本の宇宙技術は失敗が続く。
「H2A」で一昨年暮れ打ち上げた環境観測技術衛星「みどり2号」は昨年十月、通信が途絶し運用断念に追い込まれた。
電源となる太陽電池パネル系のトラブルとみられている。
 96年に打ち上げた「みどり」もわずか十カ月で故障、二つの衛星に投じた総開発費千四百億円が消えた。
 また、火星探査機「のぞみ」にも不具合が発生、まさに総崩れの感がある。
 日本の最近十年間のロケット打ち上げ実績は十三回中、三回失敗し成功率は77%。
 石原知事が揶揄する中国は96年10月以降、31回連続打ち上げに成功、どっちが宇宙開発大国といえるだろうか。
日本の「H2A」は一回当たりの打ち上げ費用が約85億円。これに対して中国の主力ロケット「長征」は約64億円とコストも安い。
 有人宇宙飛行に成功した中国は、月の探査を視野に入れている。来年、一、二基の月周回衛星を打ち上げ、月の資源分布を調べる。2010年までに無人探査機を月面に着陸させ、二〇年前後に月の試料を持ち帰る計画だ。
 小泉首相が議長を務める総合科学技術会議が、今夏をめどに日本の宇宙開発利用政策の新たな基本方針を策定するという。
宇宙飛行、月探査、星探査も視野に入れることになろう。
 しかし、大風呂敷を広げることより、宇宙飛行技術の基礎・基本を確かなものにし、二度とロケット打ち上げに失敗しないことから始めてはどうか。
2,2トンの発電機を3階の屋上から下ろすのに苦慮している。
25トンや50トンクレーンでさえおろすに耐えない重さであり、ロケットを飛ばす技術のすばらしさを痛感させられている。

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