都市の再生

2007年2月19日
どしゃ降りの都心を3万人が駆け回った初めての「東京マラソン」。
4月都知事選を前の大イベントゆえ、
きな臭さが残るが東京マラソンを市民の新しいお祭りにとして
人間的ぬくもりを大都市が回復するにはいい。
そりゃあ、12億円の予算を組んだ3選を目指す都知事選前の大宣伝が目的だもの。

なんでも数字に置き換えられるご時勢
18日午前9時からフジテレビ系で生中継された「東京マラソン2007」の視聴率が、関東地区で23・6%
 瞬間最高視聴率は、佐藤智之(旭化成)が2位でゴールした直後の31・3%。
世界歴代2位の記録(2時間4分56秒)を持つサミー・コリル(ケニア)は18キロ手前で、
油谷繁(中国電力)は32キロでともに棄権した。

宮崎延岡に住む佐藤智之は大分県別府市出身、
 世界陸上大阪大会の代表争い(5人枠)は、今大会で昨年12月の福岡国際(10位)に次ぐ2度目の選考会挑戦.

佐藤が、代表候補に名乗りを上げた。
 記録は2時間11分22秒と低調だったが、雨と寒さの悪条件

日本陸連の沢木啓祐強化委員長は
「実際の記録より内容はいい。(福岡に次ぐ)追試に100点はないが合格点」と評価。

代表争いは、福岡国際4位の奥谷亘(SUBARU)が2時間8分49秒で内定。
奥谷に3秒差だった諏訪利成(日清食品)が有力候補。
 別大マラソン優勝の藤田敦史(富士通)は世界陸上には出場しない方針。
 
 コースは新宿、銀座、浅草など、首都の名所を結び、国際認定を受けている。
沿岸部で進んだ埋め立てや干拓,
終盤5キロほどは昔の海の上を走った。

いつもはクルマに占拠されている目抜き通りが、
この日はランナーや応援する市民の天国。

 世界陸上の選考会を兼ねる大会で一流選手とともに走ることは、市民ランナーにとって、このうえない喜びだろう。

 参加者は、健脚自慢の市民だけではなかった。
車いすの人、目の不自由な人、臓器移植を受けた人たちもいた。

 参加者の荷物を預かったり、コースの途中で飲料水を配ったり、さまざまな場面で運営を支えたのは、1万人を超える
ボランティアである

 沿道では、大学や高校の応援団が声援合戦をし、大道芸や屋台も登場した。
 さまざまな人が互いに助け合い、共に生きる。
そんな願いが込められた首都の新しいお祭りが誕生したようだ。

 大都市の中心部を、競技者と大勢の市民が一緒に走るマラソン大会は、今や世界の流れになっている。

100年以上の歴史を持つボストンだけでなく、ロンドン、ベルリン、ニューヨーク、シカゴ、北京などでも開かれている。 

 東京でもニューヨークのようなマラソン大会をやれないか。
市民団体や研究者と東京都がシンポジウムを開き、構想を語り合ったのは7年前である。

市民団体は都心の歩道を走るコースをつくり、マラソン行事を重ねてきた。

 そうした努力が、大きなうねりとなって実現した大会である。
出場の応募者が参加枠の3倍を超える9万5千人
世界でも有数の過密都市である東京で
、いきなり3万人が走るとなると、交通や安全確保など都市機能への影響は計り知れない。

 警察はコース周辺の幹線道路を最長7時間近く封鎖し、前例のない交通規制を敷いた。
消防署は火災時の出動で協力し合い、救急車も分散待機させた。
 用意された仮設トイレは700基。
運営を手伝うボランティアは1万人以上、選手の着替えなどをゴール地点に運ぶトラックは36台

ビルが並び、車がひっきりなしに行き交う都心の街は、どことなくよそよそしい表情をしている。
走る人に、沿道で応援する人に、
街並みはいつもとは違う顔を見せてくれたに違いない
日本で初の大都市型市民マラソンは、まずは成功したと言ってよい。

 日本陸上競技連盟の沢木啓祐強化委員長は
「競技者と市民、街とスポーツが共存共栄することが大事だ」と語った。
すそ野が広がれば、頂点も高くなる。選手層の厚さだ
何よりも都市の再生が見えてきたことだろう。

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