菅内閣総理大臣記者会見
2010年6月14日 お仕事菅内閣総理大臣記者会見6月8日(火)
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201006/08kaiken.html
【菅総理冒頭発言】
今夕、天皇陛下の親任をいただいた後、正式に内閣総理大臣に就任することになりました、菅直人でございます。国民の皆さんに就任に当たって、私の基本的な考え方を申し上げたいと思います。
私は、政治の役割というのは、国民が不幸になる要素、あるいは世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか、最小不幸の社会をつくることにあると考えております。勿論、大きな幸福を求めることが重要でありますが、それは、例えば恋愛とか、あるいは自分の好きな絵を描くとか、そういうところにはあまり政治が関与すべきではなくて、逆に貧困、あるいは戦争、そういったことをなくすることにこそ政治が力を尽くすべきだと、このように考えているからであります。
そして、今、この日本という国の置かれた状況はどうでしょうか。私が育った昭和20年代、30年代は、ものはなかったけれども、新しいいろいろなものが生まれてきて、まさに希望に燃えた時代でありました。しかし、バブルが崩壊してからのこの20年間というのは、経済的にも低迷し、3万人を超える自殺者が毎年続くという、社会の閉塞感も強まって、そのことが今、日本の置かれた大きな、何か全体に押しつぶされるような、そういう時代を迎えているのではないでしょうか。
私は、このような日本を根本から立て直して、もっと元気のいい国にしていきたい、世界に対してももっと多くの若者が羽ばたいていくような、そういう国にしていきたいと考えております。
その一つは、まさに日本の経済の立て直し、財政の立て直し、社会保障の立て直し、つまりは強い経済と強い財政と強い社会保障を一体として実現をすることであります。
今、成長戦略の最終的なとりまとめを行っておりますけれども、日本という国は大きなチャンスを目の前にして、それにきちっとした対応ができなかった、このように思っております。
例えば、鳩山前総理が提起された地球温暖化防止のための25%という目標は、まさに日本がこうした省エネ技術によって、世界の中に新しい技術や商品を提供して、大きな成長のチャンスであるにもかかわらず、立ち遅れてきております。
また、アジアの中で、歴史の中で、最も大きな成長の時期を迎えているにもかかわらず、先日も中国に行ってみましたら、いろんな仕事があるけれども、日本の企業はヨーロッパの企業の下請けしかなかなか仕事が取れない、一体どんなことになったのか。つまりは、この20年間の政治のリーダーシップのなさが、こうしたことを生み出したと、このように思っております。
成長戦略の中で、グリーンイノベーション、そしてライフイノベーション、そしてアジアの成長というものを、私たちはそれに技術や、あるいは資本や、いろいろな形で関与することで我が国の成長にもつなげていく、こういったことを柱にした新成長戦略、これに基づいて財政配分を行いたいと考えております。
また、日本の財政状況がこれまで悪くなった原因は、端的に言えば、この20年間、税金が上げられないから、借金で賄おうとして、大きな借金を繰り返して、効果の薄い公共事業、例えば百に近い飛行場をつくりながら、まともなハブ空港が1つもない、これに象徴されるような効果の薄い公共事業にお金につぎ込み、また、一方で、社会保障の費用がだんだんと高まってきた、これが今の大きな財政赤字の蓄積の構造的な原因である。私は、財政が弱いということは、思い切った活動ができないわけでありますから、この財政の立て直しも、まさに経済を成長させる上の必須の要件だと考えております。
そして、社会保障についても、従来は社会保障というと、何か負担、負担という形で、経済の成長の足を引っ張るんではないか、こういう考え方が主流でありました。しかし、そうでしょうか。スウェーデンなどの多くの国では、社会保障を充実させることの中に、雇用を生み出し、そして、若い人たちも安心して勉強や研究に励むことができる。まさに社会保障の多くの分野は、経済を成長させる分野でもある、こういう観点に立てば、この3つの経済成長と財政と、そして社会保障を一体として、強くしていくという道は必ず開けるものと考えております。
国際的な問題についても触れたいと思います。日本は戦後60年間、日米同盟を基軸として外交を進めてまいりました。その原則は、今も原則としてしっかりとそうした姿勢を続けていく必要があると考えております。
それと同時に、アジアにある日本として、アジアの諸国との関係をより深め、更にヨーロッパやあるいはアフリカやあるいは南米といった世界の国々とも連携を深めていく、このことが必要だと思っております。
普天間の問題で、日米関係を含めて、いろいろと国内の問題も含めて、国民の皆さんに御心配をおかけいたしました。日米の間の合意はでき、それに基づいて進めなければならないと思っておりますが、同時に、閣議決定においても述べられました、沖縄の負担の軽減ということも真摯に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。
大変困難な課題でありますけれども、私もしっかりと1つの方向性を持って、この問題に取り組んでまいりたいと、このように思っているところであります。
そして、私、総理大臣としての仕事は何なのか、この間、テレビなどを少し見ますと、私が任命をした閣僚や党の新しい役員がそれぞれマスコミの皆さんの取材を受けて、いろいろな発言をしているわけです。
どうですか、皆さん。そういう私よりも10歳、20歳若い、そういう民主党の閣僚や党役員の顔を見て、声を聞いて、こんな若手が民主党にはいて、なかなかしっかりしたことを言うではないか、なかなかこれならやってくれそうではないか、そういうふうに思っていただけたんじゃないでしょうか。
私は鳩山さんとともに1996年に旧民主党をつくり、98年に新たな民主党初代の代表となりました。その後、小沢前幹事長の率いる自由党と合併をして、今の民主党になったわけでありますけれども、そこにそうした人材が集まってきたこと。私はそのことがうれしいと同時に、自信を持って、今申し上げたような日本の改革を推し進めることができる、このように思っております。
そして、この多くの民主党に集ってきた皆さんは、私も普通のサラリーマンの息子でありますけれども、多くはサラリーマンやあるいは自営業者の息子で、まさにそうした普通の家庭に育った若者が志を持ち、そして、努力をし、そうすれば政治の世界でもしっかりと活躍できる。これこそが、まさに本来の民主主義の在り方ではないでしょうか。
その皆さんとともに、このような課題を取り組んでいく上で、私の仕事は一つの方向性をきっちりと明示をし、そして、内閣あるいは党を、その方向で議論するところは徹底的に議論して、みんなが納得した上で、その方向にすべての人の力を結集していく。そのことが私の仕事だと考えております。
総理になったからには、もうあまり個人的な時間は取れない。本当なら53番札所まで来ているお遍路も続けたいところでありますけれども、いましばらくはそれをまさに後に延ばしても、ある意味では官邸を中心に、これこそが修行の場だ、そういう覚悟で、日本という国のため、更には世界のために私のあらん限りの力を尽くして、よい日本をよい世界をつくるために全力を挙げることを国民の皆さんにお約束をいたしまして、私からの国民の皆さんへのメッセージとさせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201006/08kaiken.html
【菅総理冒頭発言】
今夕、天皇陛下の親任をいただいた後、正式に内閣総理大臣に就任することになりました、菅直人でございます。国民の皆さんに就任に当たって、私の基本的な考え方を申し上げたいと思います。
私は、政治の役割というのは、国民が不幸になる要素、あるいは世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか、最小不幸の社会をつくることにあると考えております。勿論、大きな幸福を求めることが重要でありますが、それは、例えば恋愛とか、あるいは自分の好きな絵を描くとか、そういうところにはあまり政治が関与すべきではなくて、逆に貧困、あるいは戦争、そういったことをなくすることにこそ政治が力を尽くすべきだと、このように考えているからであります。
そして、今、この日本という国の置かれた状況はどうでしょうか。私が育った昭和20年代、30年代は、ものはなかったけれども、新しいいろいろなものが生まれてきて、まさに希望に燃えた時代でありました。しかし、バブルが崩壊してからのこの20年間というのは、経済的にも低迷し、3万人を超える自殺者が毎年続くという、社会の閉塞感も強まって、そのことが今、日本の置かれた大きな、何か全体に押しつぶされるような、そういう時代を迎えているのではないでしょうか。
私は、このような日本を根本から立て直して、もっと元気のいい国にしていきたい、世界に対してももっと多くの若者が羽ばたいていくような、そういう国にしていきたいと考えております。
その一つは、まさに日本の経済の立て直し、財政の立て直し、社会保障の立て直し、つまりは強い経済と強い財政と強い社会保障を一体として実現をすることであります。
今、成長戦略の最終的なとりまとめを行っておりますけれども、日本という国は大きなチャンスを目の前にして、それにきちっとした対応ができなかった、このように思っております。
例えば、鳩山前総理が提起された地球温暖化防止のための25%という目標は、まさに日本がこうした省エネ技術によって、世界の中に新しい技術や商品を提供して、大きな成長のチャンスであるにもかかわらず、立ち遅れてきております。
また、アジアの中で、歴史の中で、最も大きな成長の時期を迎えているにもかかわらず、先日も中国に行ってみましたら、いろんな仕事があるけれども、日本の企業はヨーロッパの企業の下請けしかなかなか仕事が取れない、一体どんなことになったのか。つまりは、この20年間の政治のリーダーシップのなさが、こうしたことを生み出したと、このように思っております。
成長戦略の中で、グリーンイノベーション、そしてライフイノベーション、そしてアジアの成長というものを、私たちはそれに技術や、あるいは資本や、いろいろな形で関与することで我が国の成長にもつなげていく、こういったことを柱にした新成長戦略、これに基づいて財政配分を行いたいと考えております。
また、日本の財政状況がこれまで悪くなった原因は、端的に言えば、この20年間、税金が上げられないから、借金で賄おうとして、大きな借金を繰り返して、効果の薄い公共事業、例えば百に近い飛行場をつくりながら、まともなハブ空港が1つもない、これに象徴されるような効果の薄い公共事業にお金につぎ込み、また、一方で、社会保障の費用がだんだんと高まってきた、これが今の大きな財政赤字の蓄積の構造的な原因である。私は、財政が弱いということは、思い切った活動ができないわけでありますから、この財政の立て直しも、まさに経済を成長させる上の必須の要件だと考えております。
そして、社会保障についても、従来は社会保障というと、何か負担、負担という形で、経済の成長の足を引っ張るんではないか、こういう考え方が主流でありました。しかし、そうでしょうか。スウェーデンなどの多くの国では、社会保障を充実させることの中に、雇用を生み出し、そして、若い人たちも安心して勉強や研究に励むことができる。まさに社会保障の多くの分野は、経済を成長させる分野でもある、こういう観点に立てば、この3つの経済成長と財政と、そして社会保障を一体として、強くしていくという道は必ず開けるものと考えております。
国際的な問題についても触れたいと思います。日本は戦後60年間、日米同盟を基軸として外交を進めてまいりました。その原則は、今も原則としてしっかりとそうした姿勢を続けていく必要があると考えております。
それと同時に、アジアにある日本として、アジアの諸国との関係をより深め、更にヨーロッパやあるいはアフリカやあるいは南米といった世界の国々とも連携を深めていく、このことが必要だと思っております。
普天間の問題で、日米関係を含めて、いろいろと国内の問題も含めて、国民の皆さんに御心配をおかけいたしました。日米の間の合意はでき、それに基づいて進めなければならないと思っておりますが、同時に、閣議決定においても述べられました、沖縄の負担の軽減ということも真摯に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。
大変困難な課題でありますけれども、私もしっかりと1つの方向性を持って、この問題に取り組んでまいりたいと、このように思っているところであります。
そして、私、総理大臣としての仕事は何なのか、この間、テレビなどを少し見ますと、私が任命をした閣僚や党の新しい役員がそれぞれマスコミの皆さんの取材を受けて、いろいろな発言をしているわけです。
どうですか、皆さん。そういう私よりも10歳、20歳若い、そういう民主党の閣僚や党役員の顔を見て、声を聞いて、こんな若手が民主党にはいて、なかなかしっかりしたことを言うではないか、なかなかこれならやってくれそうではないか、そういうふうに思っていただけたんじゃないでしょうか。
私は鳩山さんとともに1996年に旧民主党をつくり、98年に新たな民主党初代の代表となりました。その後、小沢前幹事長の率いる自由党と合併をして、今の民主党になったわけでありますけれども、そこにそうした人材が集まってきたこと。私はそのことがうれしいと同時に、自信を持って、今申し上げたような日本の改革を推し進めることができる、このように思っております。
そして、この多くの民主党に集ってきた皆さんは、私も普通のサラリーマンの息子でありますけれども、多くはサラリーマンやあるいは自営業者の息子で、まさにそうした普通の家庭に育った若者が志を持ち、そして、努力をし、そうすれば政治の世界でもしっかりと活躍できる。これこそが、まさに本来の民主主義の在り方ではないでしょうか。
その皆さんとともに、このような課題を取り組んでいく上で、私の仕事は一つの方向性をきっちりと明示をし、そして、内閣あるいは党を、その方向で議論するところは徹底的に議論して、みんなが納得した上で、その方向にすべての人の力を結集していく。そのことが私の仕事だと考えております。
総理になったからには、もうあまり個人的な時間は取れない。本当なら53番札所まで来ているお遍路も続けたいところでありますけれども、いましばらくはそれをまさに後に延ばしても、ある意味では官邸を中心に、これこそが修行の場だ、そういう覚悟で、日本という国のため、更には世界のために私のあらん限りの力を尽くして、よい日本をよい世界をつくるために全力を挙げることを国民の皆さんにお約束をいたしまして、私からの国民の皆さんへのメッセージとさせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
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