10・6

2011年10月7日 お仕事

小沢裁判 傍聴記録

産経新聞



(10:00~10:08)

 《「剛腕」「壊し屋」の異名で知られる政界の実力者。“政治とカネ”をめぐる数々の疑惑を抱えながら、これまで刑事事件の被告として1度も法廷に立つことのなかった男に対する刑事裁判がついに幕を開ける》

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判が6日、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。検察が2度にわたって不起訴としながらも検察審査会の議決を受け、政治家が強制起訴された初めてのケースだ》

 《小沢被告は、陸山会が平成16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、石川知裕衆院議員ら元秘書3人(いずれも1審有罪、控訴中)と共謀。貸し付けた4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかった罪などに問われている》

 《小沢被告はこれまで「(事実関係は)法廷で明らかにする」などと述べ、国会の証人喚問や政治倫理審査会への出席は実現されてこなかった。有罪判決を受けた元秘書3人の公判を通じても、いまだ詳細不明のままとなっている「4億円の原資」などについて、小沢被告が法廷でどう説明を尽くすのか。注目が集まる》

 《法廷は東京地裁最大規模の104号。一般傍聴席は49人分だったが、注目の事件とあり、傍聴希望者が殺到。午前7時15分ごろから日比谷公園に2146人が並んで抽選を行った。法廷前では係員が金属探知器で携行品を検査するなど、不審物の入念なチェックが行われている》

《すでに法廷には傍聴席から向かって左側に、大室俊三弁護士を中心とした検察官役の指定弁護士3人が着席。右側には、これまで数々の刑事事件で無罪判決を勝ち取り、「無罪請負人」として知られる弘中惇一郎弁護士が率いる弁護団が陣取り、パソコンを開き、資料を再チェックするなど入念な準備を進めている。弁護士同士が激突する異例の裁判を前に緊張感が漂う》

 裁判長「傍聴人の準備はできましたか。それでは被告の入廷をお願いします」

 《裁判長がそう宣言すると、午前10時ちょうど「バタン」と音がして、傍聴席から向かって右側のドアから小沢被告が入廷する。紺のスーツに白いシャツ、薄紫色のネクタイ姿。左胸には金バッジが光る。裁判長に対し一礼した後、ゆっくりと弁護団の中央の席に座った》

 《小沢被告の席にはペットボトル入りのお茶が置かれている》

 裁判長「それでは開廷します。被告は証言台、真ん中の席のところに立ってください」

 被告「ここでよろしいですか」

 裁判長「はい。そこで」

 《小沢被告が証言台に立つ。大善裁判長が人定質問を始める》

 裁判長「名前を教えてください」

 被告「小沢一郎です」

 裁判長「生年月日は?」

 被告「えー。昭和17年5月14日です」

 裁判長「本籍は?」

 被告「岩手県奥州市水沢区袋町2の…」

 裁判長「起訴状には31となっていますが」

 《小沢被告はじっと押し黙って少し考えた後、番地を言いなおすと、大善裁判長は「じゃあ、それで伺っておきます」などと応じた》

裁判長「住所は?」

 被告「同じです」

 裁判長「えー、現住所ですが」

 《事前の資料と違う回答を立て続けに受け、とまどったような表情を浮かべる大善裁判長》

 被告「ああ、『東京都世田谷区深沢6の…』です」

 裁判長「あー、それでいいです」

 裁判長「職業は?」

 被告「衆議院議員です」

 裁判長「国会議員の衆議院議員ですか」

 被告「はい。そうです」

 《やりとりにちぐはぐな点はあったが、背筋を伸ばした姿勢で落ち着いて答えていく小沢被告。質問を終えた大善裁判長は、続いて指定弁護士に起訴状の読み上げを求めた》

 《茶色のスーツを着た大室弁護士が立ち上がる。落ち着いた表情で起訴状を朗読していく。小沢被告は証言台に背筋を伸ばして座り、じっと聞き入っている》

 指定弁護士「被告は第1、自己の資金管理団体である陸山会の会計責任者であった大久保隆規(元秘書)及び、同人の職務を補佐するものであった石川知裕(議員)と共謀の上…」

 《指定弁護士が主張する「元秘書との共謀」。今回の公判の争点の一つだ。石川議員が小沢被告に虚偽記載を報告し、了承されたとする捜査段階の供述調書は「取り調べに威圧、誘導があった」として元秘書3人の公判では証拠採用を却下された。「共謀」を立証する重要なカギとなるだけに、今回の裁判で証拠として認められるかどうか、裁判所の対応が注目される》

 《起訴状の読み上げが続いている》

 指定弁護士「陸山会が平成16年10月12日ごろ、被告から4億円の借り入れをしたにもかかわらず、これを平成16年の収入として計上しないことにより…」

 《小沢被告が貸し付けたとされる4億円。元秘書3人が有罪とされた東京地裁1審判決では、「(原資について)用立てた小沢元代表ですら明快な説明ができていない」と指摘を受けている》

 《さらに判決では、同時期に石川議員が水谷建設から5000万円を受領したことを事実認定。「小沢事務所は常にマスコミのターゲットになっており、これらのことが明るみに出る可能性があった」ことが、4億円の不記載の動機となったと指摘している。これについて、小沢被告の弁護団はどう戦っていくのだろうか》

 《指定弁護士の起訴状の朗読が終わった。大善裁判長が黙秘権について説明を始める。小沢氏は「はい」「はい」と返事をしながら話を聞くと、最後に「分かりました」と大きく頷いた》

 裁判長「それでは立っていただけますか」

 《いよいよ罪状認否が始まるようだ》

 裁判長「今、指定弁護士が読み上げた公訴事実について違っているところがないか、違っていれば、どこが違うのかを教えて下さい。また自分の意見を言うこともできます」

 《丁寧な口調で大善裁判長が認否を促す。証言台に立つ小沢被告が口を開く》

 被告「指定弁護士が話されたような事実はございません」

 《きっぱりとした口調で起訴内容を否認した。長い法廷闘争が始まった瞬間だった》



(10:08~10:25)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判で、小沢被告が罪状認否に続いて意見陳述を始めた》

 《大善文男裁判長が小沢被告に意見陳述を始めるよう促す》

 裁判長「それでは、意見を述べてください」

 被告「よろしいんですか」

 《小沢被告は背筋を伸ばし、まっすぐ大善裁判長を見据ながらも間の延びた言い方で聞き返した》

 裁判長「座って述べても結構です」

 《大善裁判長の言葉を聞いているのか、小沢被告は、そのまま立ったままの姿勢で、A4用紙数枚の紙を持ち、意見陳述に入った》

 被告「それでは裁判長のお許しをいただきましたので、意見を述べさせていただきます」

 《依然、間の延びた言い方で語り始めた》

 被告「違法捜査により得られた調書を唯一の証拠としているこの裁判は、直ちに打ち切るべきです」

 《一転、小沢被告は鋭く言い放った》

 《検察官が強圧的な取り調べで供述を引き出したとして、元秘書の石川知裕衆院議員らの供述調書の一部が、元秘書3人の裁判でも証拠採用されなかったことを指しての言葉だろう》

 被告「百歩譲って裁判が続けられるとしても、私が罪に問われることはありません。虚偽記載ではなく、まして共謀の事実は断じてございません」

 《「百歩譲っても」との言葉で語気を強め、さらに「断じてない」と否定した部分でも声を高めて強調した》

 被告「国民からなんの付託も受けていない検察という一捜査機関が国家権力を乱用したもので、日本憲政史上の汚点として後世に残されるでしょう」

 《小沢被告は準備した紙を朗々と読み上げていく》

被告「虚偽記載自体、マスコミや特定団体など、第三者から指摘されたものです。収支報告書の誤りは、自主申告して修正することが大前提です。贈収賄の事実もないのに、不適切な供述調書をもとに捜査することは、国民に選ばれた政治家の活動、国民の自由を侵害する恐れがあります」

 《法廷内は静まり返り、小沢被告の声と用意した紙のページをめくる音だけが響く》

 被告「収支報告書の誤りは、修正することで処理されてきました。この事件が立件された後もそのような処理がなされてきました。唯一、私とその団体が犯罪を犯した証拠もないのに強制捜査を受けました。贈収賄など実質的な犯罪は行われていない。現行法の精神を無視し、なぜ捜査を受けなければならないのか。捜査を終結すべきなのに続けたのは常軌を逸している」

 《小沢被告はここで一息置いて再び声のトーンを上げた》

 被告「国家権力が小沢を標的に行ったもの。根拠ないのに、明白な権力の乱用で、民主主義国家における暴力行為です。小沢を表舞台から外す社会的な抹殺で、暗殺より残酷と言えます」

 「何の証拠もないのに、野党第一党代表を狙い撃ちしたもの。衆院選挙は国民が直接、権利を行使し国の代表を選ぶ唯一の行為です。政権交代が行われようというその選挙の前に、権力の乱用を許すなら民主主義国家と呼べません」

 《痛烈な検察批判を繰り広げる小沢被告は戦前の政治体制や、東日本大震災に見舞われた現状についても触れていく》

被告「日本は戦前、権力が結託し、政党政治の抑圧を許しました。それが敗戦の悲劇につながりました。そのような過ちを繰り返すのでしょうか」

 「震災や原発事故の復旧はいまだなされておらず、世界経済も混迷状態にあります。偏狭なナショナリズムやテロが台頭し、日本の将来が暗澹(あんたん)たるものになる。国家権力の乱用をやめ、民主主義を取り戻さなければなりません」

 《政治的な警告を述べた後、こう締めくくった》

 被告「まだ間に合うと私は考えます。裁判所には、見識ある判断をお願いし、私の意見を終えます。ありがとうございました」

 《小沢被告は大善裁判長に向かって深々と礼をし、弁護人側のいすに戻った》

 裁判長「弁護人、意見はありますか」

 《大善裁判長の言葉に、小沢被告の弁護団を率いる弘中惇一郎弁護士が立ち上がった》

 弁護人「収支報告の記載について(元秘書の)大久保(隆規)氏は相談したことも(小沢)被告から指示されたこともなく、共謀の事実はありません」

 《弘中弁護士は、全ての起訴内容について、次々と否認していく》

 弁護人「(元秘書と)共謀した事実はなく、全ての控訴事実について無罪です」

 《淡々とした語り口で簡潔に弁護人側の意見を述べると、席についた》

 裁判長「それでは証拠調べに入ります」

 《検察官役の指定弁護士のうち、男性弁護士が冒頭陳述の読み上げを始めた。小沢被告は少し顔を上げまっすぐ前を見すえたまま、読み上げに聞き入っている》



(10:25~11:00)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判は検察官役の指定弁護士側の冒頭陳述の読み上げが始まった。小沢被告は弁護側の席に座っている。前を向き、目を閉じたままだ》

 《指定弁護士は冒頭陳述でまず小沢被告の初当選以降の経歴などを説明。その後、問題の土地購入以前の被告と秘書らとの関係について述べていく》

 指定弁護士「平成16年当時、被告の東京の事務所に勤務する秘書らは、被告の私邸近くにある妻所有の世田谷区の建物(旧秘書寮)に居住し、毎朝、被告の私邸のリビングに集合して報告をしたり、指示を受けたりした後、秘書用の乗用車2台に分乗して、それぞれの職場に出勤するのを常としていた」

 《ここから、先月26日にいずれも執行猶予付きの有罪判決を受けた元秘書3人が小沢被告の下に集った経緯について触れる》

 指定弁護士「大久保(隆規元秘書)は、平成3年と7年の選挙で釜石市議会議員に当選したが、11年4月の釜石市長選で落選したことから、かねてから政治家として憧れていた被告に入門を申し込んだ。同年11月に単身上京し、書生として被告の私邸のガレージ2階(書生部屋)に住み込みながら、庭掃除や被告の散歩のお供などの書生仕事をし、そのかたわらで秘書見習いをするようになった」

 《政治家の経験もあり年齢も高かった大久保元秘書が間もなく秘書を統括する立場となり、17年1月に公設第1秘書に昇格した。指定弁護士は続いて石川知裕衆院議員、池田光智元秘書について説明する》


指定弁護士「石川は『政策や意見がぶれない政治家』として被告を尊敬していたことから早稲田大学商学部在学中の8年2月に被告の書生となって書生部屋に住み込み、道路や小鳥の小屋の掃除をするようになった」

 「池田は被告を『これからの日本を引っ張っていくリーダー的な存在』であると考え、早稲田大学政経学部在学中から、当時被告が党首を務めていた新進党の学生部に所属していた。大学4年から書生部屋に住み込んで炊事や洗濯を行い、卒業後は書生兼私設秘書として後援会の名簿の入力作業、冠婚葬祭への代理出席などを行った」

 《小沢被告は特に関心のない様子で、時折眠そうに目をこする》

 指定弁護士「3人は被告を政治上の師と仰いで尊敬し、重要な問題はすべて被告の指示に従い、独断で事を運ぶ事はなかった。たとえば、石川が失敗したコピーの裏紙をファクスに使用すると紙詰まりを起こしやすいと自ら判断して裏紙を使用しなかったことに、『節約を求める指示に反した』として被告から厳しく叱責されたほどだった」

 《続いて、今回の政治資金規正法違反事件の発端となった東京都世田谷区の土地購入の経緯について説明していく》

 指定弁護士「大久保は秘書のために新たな寮を建築するのに適当な広さの土地を物色していたが、16年9月に世田谷区の宅地について被告に相談したところ、被告は『この間、散歩ついでに例の分譲地をみてきた。あそこだったら、いいところだな。あれでいいんじゃないか』と陸山会での購入を指示した」

「大久保は(会計事務を担当していた)石川に、購入費用4億円の調達について相談したが、石川は『日常の資金繰りにも困難をきたすことになる』と(政治団体からの支出に)難色を示した。そこで大久保は石川とともに被告を訪れ、資金の用意が難しいことを伝えると、被告は『分かった。じゃあ俺が4億円を用立てよう。4億円全部貸すから、ちゃんと戻せよ』と述べた」

 《指定弁護士は、ここで朗読を交代。その後の土地売買事務の経緯に触れた後、平成16年分の政治資金収支報告書に虚偽記載があったとする起訴内容について説明していく。小沢被告は元秘書らと共謀し、土地購入後の登記を翌年にずらし、購入の記載を16年分に記載しなかったなどとされる》

 指定弁護士「石川は4億円を『小沢先生が政治活動の中で何らかの形で蓄えた簿外の資金で、表に出せない』と考えており、1度に1カ所の預金口座に入金すると銀行員から原資について疑いを持たれかねないと思い、4億円を多数の預金口座に分散して入金した」

 「4億円を収支報告書に『借入金』として記載すると、毎年『借り入れ残高』欄に『表に出せない資金』が記載され続けることになり、いずれメディアの関心を引く恐れがある。さらに、利息も含め返済方法を一切定めず当面返済しない『借入金』が記載され続けると、被告から陸山会への『寄付』と解され、違法行為であるとの疑いを抱かせる可能性もある。そこで石川は、被告から4億円を借り入れた事実を隠し、簿外処理する必要があると判断した」

「しかし、収支報告書の金額では土地を購入することは不可能なので、4億円に代わる購入資金があるように見せかける手段を講じる必要があり、そのための時間を確保するため、土地取得時期を翌年にずらす必要があると考えた」

 《指定弁護士は、被告と石川議員、大久保元秘書のやりとりについて詳細に説明していく》

 指定弁護士「石川は被告に『4億円が表に出ないように、(世田谷区)深沢の土地について、銀行からの借り入れで決済をしたという外形を整えたいので、陸山会が先生経由で、りそな(銀行)から4億円の借り入れをしたいのですが。陸山会名義で定期預金を組み、担保として融資を受けたいと思います』と述べ、被告もこれを了承した」

 「石川は翌17年3月下旬ごろ、衆院第1議員会館の被告の事務所で大久保に対し、(16年分の)収支報告書案を手渡し、その内容を説明した。『小沢先生からお借りした4億円と、深沢の土地購入の件は外しております』」

 「さらに石川はそのころ、被告に『先生、収支報告書を提出する前に報告したいんですが、よろしいでしょうか』と声をかけ、大久保に対する説明と同じ要領で報告した。収支報告書が虚偽であることは被告にはただちに分かることだったが、土地の取得時期を翌年送りにしたことを十分に理解していたことから問題とせず、『分かった。分かった。きっちりやっておいてくれ』と述べ了承した」

 《時折手元の資料を確認しながらも、目をつむり無表情を貫く小沢被告。その胸中は計り知れない》


(11:00~11:30)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判(大善文男裁判長)で、検察官役の指定弁護士による冒頭陳述は、陸山会の会計事務が石川知裕衆議院議員から池田光智元秘書に引き継がれた際、「小沢一郎被告が4億円の虚偽記載を承知していた」とする場面にさしかかった》

 指定弁護士「池田は、衆議院議員選挙へ立候補するため、平成17年6月末で退職することになっていた石川の後任として17年1月4日頃から赤坂事務所に勤務するようになった。石川は池田に16年分の収支報告書を手伝わせるとともに、それまで担当していた陸山会など(小沢被告の関係する)5団体の経理処理などの事務の引き継ぎを進めたが、この過程で池田に対し、『必ず小沢先生にも報告しなければいけない』旨も引き継いだ」

 《小沢被告は表情を変えず、正面を見据えている》

 「池田は平成16年分の収支報告書の作成を手伝うなかで、通帳との突き合わせにより土地代金の支払いが記載されないことに気づき石川に確認した。石川は『16年中にこの土地代金は支払い済みだけど、17年1月7日の所有権移転登記に合わせて16年分の収支報告書に記載せず、17年分の収支報告書に載せればいいから』と話し、17年7月上旬に赤坂事務所を離れるにあたり、池田に対して念押しした」

「池田は平成16年10月に4億円近い入金や、本件5団体からの入金があったにもかかわらず収支報告書に記載されていないことにも気づいていたが、石川から『気にしなくていいから』と言われていたので、これを除外して収支報告書との突き合わせを行った。その後、池田は石川から『土地を購入する際、陸山会は小沢先生から運転資金として4億円を借りていたんだ』と聞き、簿外とされた4億円の存在を知り、16年10月の現金入金額3億8492万円と手付金などとして現金で支払った1508万円、計4億円がこれに当たると気づいた」

 《手元の資料をめくり、目を落とす小沢被告。表情に変化はみられない》

 指定弁護士「平成17年3月ごろ、石川は池田に対し、土地の購入代金などの支払いの収支報告書への記載について『登記は17年1月7日にしたので、それに合わせて代金の支払いも1月7日にして、17年の支出として収支報告書に計上しておいてくれ』と指示した」

 《指定弁護士は池田と小沢被告らがいかに「共謀」していたかを詳細に解説していく》

 指定弁護士「池田は平成18年2月ごろから陸山会などの収支報告書の原案の作成を始めた。前述の通り、17年3月ごろに石川から、本件土地の購入代金を平成17年の支出として収支報告書に計上するよう指示されていたことから、池田はこれに従い準備し始めたが、16年中には陸山会に4億円が入金されていたにもかかわらず簿外とされていたこと、16年の資金移動が記載されていないため預貯金、現金の金額と帳簿上の繰越残高とのつじつまが合わなくなることが判明した」

「そこで池田は平成18年3月ごろ、石川と相談し、実際の資金移動がないのに5団体から寄付があった旨の記載をすることにした。しかも17年1月7日に土地代金などを一括で支払ったことにするには、その時点で担保の設定されていない預貯金、現金が存在していなければならないところ、収支報告書上、これに不足していたことから、寄付のうち2億8千万円を1月5日にあったことにした」

 「以上の偽装工作を踏まえ、池田は平成18年3月ごろ、実際には16年10月29日だった土地購入日を17年1月7日とし、16年中に支払っていた土地代金など3億5261万6788円を17年中に支払ったとして同年中の事務所費を土地金額を含む4億1525万4243円とした虚偽の記載を含む17年の陸山会の収支報告書原案を作成した」

 「池田は、平成17年12月から18年3月ごろの間に、被告から『最終確定のものでなくていいいから、陸山会など5団体の収入と支出の総額がどれくらいになるか教えてくれ』と指示された。そこで池田は、17年の本件収支一覧表を作成し、被告に報告した。石川から土地購入代金を17年の支出とすることは小沢被告の了解を得ていると聞いていた池田は、『石川さんから引き継いだ通り、17年の収支報告書に16年に支払った(東京都世田谷区)深沢の土地約3億5千万円を計上しておきますから』と説明を加えた。被告も石川から説明を受けた段階でこれを了承していたことから、制止することなく『ああ、分かった』といって了承した」

 《虚偽記載を裏付けるやりとりを詳細に再現していく指定弁護士。小沢被告が「暗黙」のうちに了承していたとする主張を印象づけたいようだ》

《表情を変えず、相変わらず前を見つめている小沢被告だが、時折目を強くつむるしぐさを見せる》

 「この了承を踏まえ、池田は平成17年の収支報告書の原案作成を進め、18年3月ごろ、上記の通り虚偽記載を含む原案と収支一覧表を大久保(隆規元秘書)に見せた上で、『16年に支払った深沢の土地代金の分も17年に支出として載せてあります』と、虚偽の記載を含むものであることを説明した。大久保は『ああ、そっか、そっか。判子押して出しておいてくれ』と言って了承した」

 「池田は平成17年分の収支報告書を提出する前、被告に『石川から引き継いだ通り17年分の支出に、16年に支払った深沢の約3億5千万円の土地代金を計上しております』と念のため説明した。これに対して被告は『ああ、そうか』と言ってこれを承諾した。以上の経緯で、被告や大久保から了承を得た池田は、収支報告書に添付する宣誓書に大久保のサインをし、あらかじめ預かっていた大久保の印鑑を押して収支報告書を完成させ、平成18年3月28日、東京都選挙管理委員会に提出した」

 《その後、指定弁護士は陸山会の不動産購入がそれまですべて銀行借り入れで行われ、小沢被告が自己資金を提供したことはなかったことなどを指摘。小沢被告と石川元秘書らが4億円を簿外処理することを合意していたと推測させるなどとしたうえで、「つじつま合わせに転貸金の借り入れをした」と説明した》

 《加えて、週刊誌が陸山会が多数の不動産を購入し、小沢被告名義で登記していることを問題視する記事が掲載された際には、小沢被告が記者会見で「(平成16年~19年の)3年間とも、事務所費に関する経費の架空計上、付け替え、虚偽記載などがない」などと虚偽の説明をし、「公私の区別をはっきりさせるために、不動産の購入契約は陸山会の名前で交わし、個人としては何の権利もないことを書面で確認しております」などと話すなど、小沢被告本人も大きく関与してきたことを指摘した》



(11:30~11:40)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判(大善文男裁判長)で、検察官役の指定弁護士の冒頭陳述の読み上げが続けられている。小沢被告は顔を上げたままの姿勢で、微動だにしない》

 指定弁護士「第6に本件起訴に至る経緯についてです」

 《指定弁護士は石川知裕衆院議員、池田光智元秘書、大久保隆規元秘書(いずれも1審有罪、控訴中)が逮捕されるまでの経緯や小沢被告の捜査について説明をする》

 指定弁護士「東京地検は陸山会の平成16年、17年分の収支報告書の虚偽記載などについて捜査を進め、平成22年1月15日に石川、池田、同月16日に大久保をそれぞれ政治資金規正法違反により逮捕した」

 「大久保と石川の被疑事実は、土地に関する購入原資である4億円の収入と土地購入経費3億5261万円の支出を、陸山会の平成16年分の収支報告書に記載しなかったなどの事実で、大久保と池田の被疑事実は、土地購入経費3億5261万円の支出を17年分の収支報告書に過大記入したなどの事実である」

 《指定弁護士は早い口調で読み続ける。石川議員らの逮捕の経緯を説明した後、小沢被告が告発された経緯を述べていく》

指定弁護士「平成22年1月21日、東京地検検察官に対し(小沢)被告を被疑者として、政治資金規正法違反を被疑罪名とする告発がされた。告発事実の第1の要旨は、被告が大久保と石川と共謀し、陸山会の平成16年分収支報告書に取得していた土地を資産として記載せず、土地の購入経費3億4264万円を支出として記載せずに、これを東京都選挙管理委員会に提出した」

 指定弁護士「第2の要旨は、被告が大久保と池田と共謀して、陸山会の平成17年分の収支報告書の資産などの項目別内訳欄に平成16年10月29日に取得していた本件土地を、平成17年1月7日に取得したという虚偽の記載を、支出項目の内訳欄の経常経費の事務所費に土地の取得費3億4264万円を支出したという虚偽の記載をそれぞれして、都選挙管理委員会に提出したというものである」

 《小沢被告は目をつむったまま、表情を変えずに、指定弁護士の冒頭陳述を聞いている》

 指定弁護士「大久保、石川、池田に対する被疑事実と被告に対する告発事実は、いずれも陸山会の平成16、17年の収支報告書の内容を対象とするほぼ同一の事案であることから、東京地検は平行して捜査を進め、平成22年2月4日、大久保ら秘書3人につき、同じ内容の公訴事実で公訴を提起し、同日、被告について、嫌疑不十分を理由に不起訴処分とした」

《続いて、指定弁護士は、検察が2度にわたって不起訴としながらも検察審査会の議決を受け、強制起訴されるまでの経緯について説明する》

 指定弁護士「被告を不起訴とする東京地検検察官の処分について、審査の申し立てを受けた東京第5検察審査会は、平成22年4月27日、『政治資金規正法違反の意思を否認する小沢の供述はきわめて不合理・不自然で信用できない』、『小沢からの4億円を原資として土地を購入した事実を隠蔽するため、銀行へ年額訳450万円を支払ってまで銀行融資を受けているなどの執拗な偽装工作などのもろもろの工作を行われているが、これは小沢が多額の資金を有していると周囲に疑われ、マスコミなどに騒がれないための手段と推測され、絶対権力者である小沢に無断で、石川らがこのような資金の流れの隠蔽工作をする必要も理由もない』などの理由から、被告の共謀共同正犯の成立が強く推認されるとして、『被告を公開の場で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきであり、検察官の不起訴処分は不当であって起訴相当である』と議決した」

 「この議決を受け、東京地検は再捜査をした。4億円の出所に関する説明は、一貫性も合理性も欠くものであったが、基本的な証拠関係に変動はなく、被告の弁解を覆して大久保や石川らとの共謀を認めるに足りる証拠が存するとは言い難く、結局嫌疑は不十分であるとして、再び不起訴処分とした」

《早い口調で読み上げを続ける指定弁護士。小沢被告は一切目をやることはない》

 指定弁護士「検察官がした再度の不起訴処分に対する不服の申し立てを受けた東京第5検察審査会は、平成22年10月4日、これについて『検察官が小沢と大久保や石川、池田との共謀を認めるに足りる証拠が存するとは言い難く、結局本件は嫌疑不十分に帰するとして、不起訴処分としたことに疑問がある』として、本件公訴事実と同旨の犯罪事実につき、起訴すべきであると議決した」 

 《指定弁護士は、政治家が強制起訴された初めてのケースのこの事件が適法であるかについて、述べていく》

 指定弁護士「検察官の2度にわたる不起訴処分は、告発事実につきなされているところ、告発事実と検察審査会が起訴議決において起訴すべき犯罪事実として摘示した事実とは、公訴事実の同一性の範囲にあり、また検察官の実際の捜査も大久保ら3人の秘書らに対する捜査と平行してなされ、4億円の虚偽記載なども捜査の対象とされていた。したがって、検察審査会の起訴議決を受けてされた公訴提起は適法である」

 《小沢被告が貸し付けたとされる4億円の不記載について、小沢被告側はこれまで「検察審査会の2度の議決を受けていない」として起訴は不当と主張。法廷でも争う姿勢を示しており、指定弁護士はこれに先駆けて適法性を主張したとみられる》

指定弁護士「以上です」

 《指定弁護士の読み上げが終わった》

 裁判長「それでは、指定弁護士の冒頭陳述の読み上げを終わります。午前中はここまでで休廷とします。午後は1時10分から再開したいと思います」

 《大善裁判長が休廷を告げ、傍聴席の退廷を命じると、傍聴人らがぞろぞろと法廷を出た》

 《小沢被告はテーブルの上にあったペットボトルを手に取り、ゆっくりとお茶を飲んだ》




(13:10~13:40)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判は午後に入って、小沢被告の弁護側の冒頭陳述に移る》

 《小沢被告が傍聴席から向かって左側の扉から法廷に入ると、一礼した。正面に向き直って大善文男裁判長へ一礼し、小沢被告の弁護団が座る向かって右側の席に向かい、2人の弁護人の間の席に座った》

 裁判長「弁護人から意見があるようですが?」

 《弁護団を率いる弘中惇一郎弁護士が意見を述べ始める》

 弁護人「指定弁護士の冒頭陳述について申し上げたいことがあります。証拠で証明する事実を逸脱するものが何カ所かあります」

 《弘中弁護士が指摘するのは、検察官役の指定弁護士が、小沢被告が「4億円の出所について明確に説明していない」と指摘するなどした箇所だ》

 弁護人「これは意見であり、冒頭陳述として不適切です。まとめて削除を求めたいと思います」

 《改めて裁判所に書面を提出し、削除カ所を提示することを申し入れた》

 弁護人「傍聴しているマスコミの皆さんもこの点を肝に銘(めい)じていただければと思います」

 《大善裁判長が弁護側に冒頭陳述を始めるように促す》

 裁判長「それでは弁護人に冒頭陳述を述べてもらいます」

 《弘中弁護士が改めて立ち上がった》

 弁護人「第一、本件は被告の提唱する政権交代が現実味を帯びてきた状況で『民主党つぶし』『小沢つぶし』を画策した検察の謀略によって作り出された事件です」

《弁護人は、民主党が参院第一党になった当時の政治状況や、平成21年3月、西松建設に関係した団体献金をめぐり政治資金規正法違反容疑で、陸山会の会計責任者の大久保隆規元秘書=同罪で有罪判決、控訴=が逮捕された経緯を説明する》

 弁護人「被告は大久保が逮捕された結果、民主党代表辞任を余儀なくされた」

 《次に元秘書の石川知裕衆院議員=同=や池田光智元秘書=同=に対する検察の取り調べで、自白の強要があったことを強調していく》

 弁護人「検事は石川に『特捜部は恐ろしいところだ。何でもできるところだぞ。捜査の拡大がどんどん進んでいく』と脅して、4億円について『故意に記載しなかった』という調書を作って署名・押印させた」

 《小沢被告は視線を落とし、真剣な表情で資料の文字を追っている》

 《弁護人は次に、池田元秘書についても自白の強要があったことを述べていく》

 弁護人「検事は、収支報告書への計上について『小沢さんに報告したことはない』という池田に『(言った)可能性まで否定するのか。可能性を否定するのは嘘を言っているのと同じだ』と、可能性が否定できないというだけで『小沢被告の了承を得た』との供述調書を作成した」

 《弁護人はさらに石川議員にも自白の強要があったと指摘する。小沢被告は資料の文字が読みづらいのか、時折、顔をしかめながら資料の文字を追っている》

 弁護人「検事は石川に『ここで全部否認するのは、逆に火に油を注ぐことになるね。報告、了承していませんとなったら(小沢被告の)起訴議決、強制起訴の可能性が高くなるね』と脅迫と利益誘導した」

《その上で、検察審査会の起訴議決は、石川議員らの調書が「真実と誤信したものだ」と強調した》

 弁護人「検察自身がこの調書では共謀を認めることができるはずがないと認めて、小沢被告を不起訴にするとの結論に達している。『起訴相当』との結論は、不完全な情報のみ与えられて(検察審査会の)審査員が誤解した結果にほかならない」

 「無理やりにこんな調書を作ったことが、改正検察審査会法の盲点を突いて、審査会を誤解させて強制起訴に持ち込むことにあったとしたら、その罪は極めて深い」

 《検察官役の指定弁護士らは手をあごに当てたり、腕を組んだりして険しい表情で弁護側冒頭陳述を聞いている》

 《弘中弁護士は、起訴内容のうち、16年10月の小沢被告からの借入金4億円を収支報告書に記載しなかったとする部分については、1回目の審査で審議されていないことから、「議決自体に問題がある」との主張も展開した》

 《さらに弁護人は、小沢被告が無罪である理由を述べていく》

 弁護人「被告は自らの個人資産から用意した4億円を渡した。被告と陸山会の間で貸借契約が締結されたこともなかった」

 《小沢被告は険しい表情で姿勢も崩さず、じっと資料に目を落としていた》



(13:40~14:10)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判は、弁護人による冒頭陳述が続いている》

 《弘中惇一郎弁護士は小沢被告が元秘書の石川知裕衆院議員に渡した4億円についての、小沢被告自身の認識を説明する》

 弁護人「平成16年10月12日ごろ、石川に4億円の現金を渡したが、借用書も受領書も作らなかった。『貸した』『借りた』という言葉も、意識もなかった」

 「石川がその4億円をどこに運び、どのように処理したかは知らなかった。石川が4億円を土地購入に利用することは認識していたが、利用方法は石川に一任していた」

 《検察官役の指定弁護士は午前の冒頭陳述で、小沢被告が「4億円」を石川に渡し、さらに陸山会が小沢被告名義で銀行から「4億円」の融資を受けていることから、収入総額が8億円を下回る収支報告書の原案を了承したことは、虚偽記載の認識があったことを意味すると主張していた。弘中弁護士が反論する》

 弁護人「被告は陸山会に資金的余裕が出来次第、提供した4億円を戻してもらうとの認識はあったが、銀行から借り受けた4億円とは別に、4億円の貸借契約を締結したという認識はなかった。まして8億円という金額を陸山会に貸し付けたなどという認識はなかったし、戻してもらうべきお金が8億円であるなどと考えたこともなかった」

《指定弁護士側の冒頭陳述では目をつぶり無表情だった小沢被告だが、時折耳や頭をかきながら真剣に手元の資料を読んでいる》

 《弘中弁護士は続いて、収支報告書に虚偽記載がないことを改めて主張していく》

 弁護人「不動産会社と陸山会は、遅くとも平成16年10月29日までに、『17年1月7日売買』を登記原因とする所有権移転登記の委任状を、司法書士に交付した。所有権移転を伴う売買契約日は平成17年1月7日であることを明確に示す証拠である」

 「所有権が仮登記と本登記の2つに分けられた場合、本登記の時に文字通り所有権が移転すると考えるのが極めて常識的な理解というべきである」

 《「手続きの不自然さ」とその背景を追及する指定弁護士側に対し、弁護側は「契約の正当性」を主張し、争う構えだ》

 弁護人「司法書士は不動産会社と陸山会の各担当者に対し、各手続きが犯罪に該当するなどとは一切説明していない。司法書士が適法な手続きであると判断して、登記申請をしたのは明らかだ」

 《小沢被告が、机に置いて眺めていた資料を両手でつかむ。表情には出さないが、一連の手続きが虚偽記載と判断されたことへの不満がうかがえる》

 《弘中弁護士は虚偽記載がなかったことの主張に続き、元秘書との共謀がなかったことも重ねて訴え、結論に入る》

 弁護人「16年分と17年分の収支報告書に何の虚偽記入も不記載もないことは明白である。4億円の借入金の不記載と、土地取得と代金支払いを翌年1月にしたことの2点は、客観的にも、不動産取引通念に照らしても、会計学的見地から検討しても、何の問題もないことが明らかである」

「さらに、大久保、石川、池田らと虚偽記入または不記載について共謀したこともない。収支報告書について報告すら受けておらず、刑事責任を負うべき理由もない」

 《一呼吸置き、語気を強める》

 弁護人「以上の通りであるので、速やかに『全面無罪』の判決を下していただきたい」

 《冒頭陳述はここで終了。続いて、大善文男裁判長がこれまでの18回に及ぶ公判前手続きで、争点が(1)強制起訴の適法性(2)元秘書らによる虚偽記載の有無(3)小沢被告と元秘書らの共謀の有無-の3つに整理されていることを説明する》

 《ここから弁護側が元秘書らの全供述調書の採用を不同意とするなど、公判前に攻防が白熱した双方の証拠の請求について説明が始まる。小沢被告はやや退屈そうな表情で、再び目をつぶった》



(14:10~14:35)

 《資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の初公判(大善文男裁判長)は、検察官役の指定弁護士による、採用された証拠品の読み上げが続けられた》

 指定弁護士「続きまして甲25号証、これは被告の資産報告書などの写しです。4億円を貸し付けて4億円を借り入れたことが記載されています」

 「続きましては甲26号証、これは不動産会社の土地売買契約書の写しです。甲31号証から32号証は土地上に建っている建物の契約証明書、甲33号証は土地の所有権移転登記などの写しです」

 《指定弁護士は、陸山会が秘書の寮を建てるため購入した東京都世田谷区深沢の土地をめぐる取引内容や購入経過、建設された建物といった証拠品の数々を、やや早口で読み上げていく》

 「甲35号証と36号証は資金の移動状況について。3億8000万円が分散して口座に入れられ、銀行に返済されるのが確認できます。甲43号証は陸山会から押収した電子ファイル。『先生返却』というタイトルのデータがあります」

 「甲70号証から75号証は被告本人と妻が所有する建物、および陸山会に賃貸している建物についての書類です。甲78号証は不動産の購入経過…」

 《これまでじっと正面を向き、あまり身動きしなかった小沢被告だが、これらの証拠品が提出されることが告げられると、しばしば隣に座る女性弁護士が広げたノートパソコンの画面をのぞき込むようなしぐさを見せた》

指定弁護士「続きまして甲87号証は石川(知裕衆議院議員)の被疑事実の要旨。甲100号証は石川の接見状況です。日曜日以外は毎日弁護士と接見しているという内容です」

 「甲110号証は池田(光智元秘書)の被疑内容。甲132号証は池田の取り調べ要旨です。甲133証は大久保(隆規元秘書)の接見事実。これも石川と同じでして、日曜日以外は弁護士と毎日接見しています。甲134号証は取り調べ要旨です」

 《いずれも執行猶予付きの有罪判決を受けた元秘書3人についての被疑事実や取り調べ内容、拘留中の接見状況などが証拠採用されることが告げられると、これまで分厚い公判資料に目を落としていた“無罪請負人”の弘中惇一郎弁護士がおもむろに顔をあげ、指定弁護士の言葉にじっと聞き入った。小沢被告は再び前を向き、時折目をつぶるなどするものの、表情を変えない》

 《淡々と証拠品の読み上げを続ける指定弁護士。一度、証拠番号を間違えて裁判官に訂正を求められる場面があったが、よどみない口調で読み上げは続けられた》

 《ここで大善裁判長がいったん30分間の休廷を宣言。これまで無表情を保っていた小沢被告だが、張りつめた空気が緩んだせいか、笑顔を浮かべながら隣の弁護士と言葉を交わす場面もみられた》

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